1/24/2011

「よさこいカップ」プレ大会に寄せて

高等学校における英語指導の実態と支援のあり方を考える
     ― ディベート,英語学習入門期,学習の「継続」 ―

高知県教育委員会事務局高等学校課 山田憲昭

「英語の習得はマラソンレースだ」と言われる。長い道のりを少しずつ前に進まなければ,ゴールにたどり着けない。ゴールにたどり着くには,「継続」が重要である。しかし,これがそう簡単ではない。「継続」には,相当のエネルギーが必要とされるからだ。学校教育においては,この「継続」に必要なエネルギーを生徒が高めることができるよう,生徒の抱える課題やつまづき,そしてそれらの原因を知り,解決のために必要な支援をしなければならない。

学校教育における支援の実態はどうであろうか。たとえば,マラソンならば走り方や走るスピードは人それぞれ違う。人それぞれに必要な休養時間,栄養や水分補給の量も違う。英語の習得においても,各人がゴールを定め,それぞれのゴールの達成を目指して,自分のペースで学習することが重要である。時には,立ち止まって熟考することも必要だ。このような視点で,生徒が諦めることなく自らのゴールに向かって取り組めるような支援が行われているだろうか。

本県では,高校生の英語学習の実態に関する調査結果に基づいて,今後必要な支援の一つとして,平成22年12月に高教研英語部会が英語学習入門期の高校生を対象にした英語ディベート大会「よさこいカップ」をスタートさせた。

背景となった調査結果を少し紹介すると,まず,本県公立高校1年生(毎年5千人程度)を対象として実施される「学習支援テスト」のアンケート調査では,平成19年度以来4年連続で,公立高校の1年生のうち約3割が英語をもっとも不得意な教科であると回答し,その主な理由として「興味がわかない」をあげている。この結果から,生徒の興味・関心を高めるような支援が十分ではないと言える。また,高知県高等学校教育研究会英語部会(高教研英語部会)が県立高校6校の高校生を対象として実施した「英語学習に関するアンケート」(2009年実施,有効回答数712名)では,英語ディベート経験者(496名)に対して英語ディベートを楽しい活動だと思うか,英語ディベートは英語学習に役に立つと思うかという次の2つの質問をした。

質問 英語ディベートは楽しい活動だと思いますか。
回答 「とても思う・まあまあ思う」       52.0 %
    「あまり思わない・まったく思わない」 45.6 %

質問 英語ディベートは英語学習に役立つと思いますか。
回答 「とても思う・まあまあ思う」       86.5 %

これらから,ディベートを英語学習に結びつけることにはある程度成功しているが,生徒の「楽しさ」「興味・関心」を高めるような支援は十分ではないと考えられる。なお,同アンケートでは,英語ディベートを経験した生徒の約8割が英語ディベートを学んでよかったと考えており,「語彙・文法・発音の知識」・「スキル(多面的・論理的に考える力,即時的な対応力,聞く力,書く力,読む力等)」・「社会的知識や関心」・「準備,情報収集,チームワーク」・「興味,関心,意欲」などの向上を実感していることがわかった。

これらの実態を背景として「よさこいカップ」がスタートしたが,今回のプレ大会には県立高校6校から高校1・2年生(9チーム・約30名)が参加した。参加者は3~4名で1チームを作り,「制服の是否」をテーマとして1試合12分の英語ディベート試合を4試合行った。さらに,トーナメント試合,参加者の親睦を図る交流会も併せて実施された。

参加者が英語学習の「楽しさ」を体験・実感し,英語学習への「興味・関心・意欲」を高めるような支援を目指したが,少なくとも2つの成果があったと考える。1つは,「コミュニケーションの手段として英語を使いながら,学ぶ」という手法を用いて,入門期の生徒を支援したことである。ほとんどの参加者は1週間程度の準備しかしておらず,普段の授業でも英語ディベートの経験がない生徒であった。そのような生徒が,大変なエネルギーを費やして終日英語を使い続けた。私を含め多くの教員が「彼らは楽しんでいる」という実感を得ることができた。閉会式では,ねぎらいと賞賛の言葉がかけられながら,参加者一人一人に終了証が渡された。もう1つは,英語ディベートの指導経験のない教員を支援したことである。大会側は,英語ディベートの指導マニュアルやモデル立論などを作成し,参加希望校に配付した。ディベートの指導経験がない教員が特に骨の折れる準備をしなくても,すぐ指導が開始できるようにサポートしたのである。このような教員への支援が,最終的には生徒への支援につながったと考える。

「よさこいカップ」は平成23年度から正式な大会となるが,生徒の生涯にわたる英語学習の「継続」を支援するという視点での今後益々の発展を期待したい。そのためには,必ずしもディベートという手法にこだわらず,各校教員の英語指導により良い波及効果をもたらすような手法を絶えず模索・研究しながら,諦めずに実践を「継続」することが大切だろう。

1/16/2011

第15回GOIKEN(報告)

新年最初のGOIKEN定例会が高知西高校で行われた。語彙選定は先月完了している。本日の作業は①今後の作業確認  ②JACET8000との関連性調査  ③次回日程
①私たちが選定した語彙と他社出版の語彙集を参照することやリスト公開、教材開発の内容について確認した。教育委員会の認定を受け、3月の公開を目指す。
②私たちが選定した語彙とJACET8000を比較し、頻度ごとの選定語数を参照した。
③次回までに行うこと
 ・各自が本日調査したJACET8000との関連性について再度、頻度別の語彙数を確認すること。
 ・2月25日(金)までに、品詞、意味、例文を山田先生作成のExcelファイルに入力し山中先生に
送信すること。
 ・語彙の推薦文献があれば、1月20日までに山中先生に伝えること。

次回のGOIKENは2月26日(土)16:00~ 高知大学附属中学校で行う。
(文責 高知西高校 中馬)