3/30/2010

英語教育セミナー21『英語授業の心・技・体』参加者の皆さんから2



上越教育大学大学院の水野くんからも感想をいただきました。ご参加いただきありがございました。

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靜先生の著書『英語授業の心技体』、さらに3月27日に行われた靜先生によるワークショップに参加して、私が最も印象に残ったことは、「本当の楽しさというのは、苦しさを乗り越えてできなかったことができるようになった達成感から生まれる」という、靜先生の言葉でした。目先の楽しさばかりにとらわれ、その日その日の短絡的な授業をしているのでは生徒の英語力は育たない。小手先のテクニックやおもしろおかしいゲームで生徒を楽しませようと考えていた私にとって衝撃的でした。思い返してみると、私は小学二年生から高校卒業するまでの計11年間サッカーをやっていたが、苦しい練習の日々をくぐり抜けたからこそ、試合で自分が活躍したときやチームの勝利というのは嬉しかったように思えます。そういった意味で、靜先生のような厳しい指導は懐かしく感じ、生徒のためを思い、ダメ出しすることは非常にありがたいことなのだと感じました。

さらに、靜先生は場の雰囲気を操るのがとても上手で、グルグルやペアワークを用いて競争心をうまく高めていたと思います。このような常にプレッシャーとストレスを与え続けられる英語の講義は初めて受けました。私の場合、隣の人に負けたくないという感情よりも、できない自分の歯がゆさが心に残りました。このストレスは「次こそは絶対に成功させる」というモチベーションに繋がっていくと思います。また、「本気でやからこそ楽しいのだ」ということも気づかされました。これに関して言うと、自分の思い通りに都合よくいかなかったら諦めてやめる。簡単にリセットができるTVゲームなどをやっている現代の子どもに欠けている点ではないかと思います。「なにくそ」と思い、一生懸命努力して成し遂げた後の達成感というのは、思わず歓喜の声やガッツポーズが出てくるのではないでしょうか。現に私はワークショップ中、グルグルでの暗唱を10回目で合格した時、ガッツポーズをしました。この喜びをたくさん経験させていくことで、生徒はどんどん英語を勉強するようになるのではないでしょうか。

小手先のテクニックではなく、靜先生の教育哲学を身を持って体感できるワークショップで大変有意義な時間が過ごせました。ここで習ったことを自分なりにアレンジし、教育現場で活かしていきたいと思います。

上越教育大学大学院英語コース 水野淳介

(高知工科大学 長﨑政浩)

3/29/2010

英語教育セミナー21『英語授業の心・技・体』参加者の皆さんから1


ワークショップに参加してくれた、高知大学教育学部2年山本くんが感想を送ってくれました。

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今回のセミナーに参加させていただきました、高知大学 山本です。

静先生には、細かく、自分が疎かにしがちであった部分を直接丁寧に教えていただきました。

今回は自分が生徒の立場であったため、生徒の心理を想像しながらワークに取り組むことができました。参加されていた先生方は、とてもやさしく、活気がある中で、英語の授業を見直すことができたように思います。個人的には、発音がうまく行えませんでしたが、何度も繰り返し、先生にOKをいただいた時は、とてもうれしく自信にもなったということが印象に残っています。力不足を実感しましたが、英語学習への意欲が湧きました。今回の経験を今後の生活にいかし、少しでも英語力を身につけていければと思います。

ありがとうございました。

(高知工科大学 長﨑政浩)

3/27/2010

英語教育セミナー21『英語授業の心・技・体』(報告)



 3月27日(土)午後1:00より英語教育セミナー21が高知工科大学で開催されました。講師は、靜 哲人先生(埼玉大学)で昨年出版された著書『英語授業の心・技・体』の実践内容をワークショップ形式で行っていただきました。
 まずは『心』、靜先生の英語教師たるものの12か条について。説明されるのかと思いきや・・・!!!
いきなりペアワークです!第1か条をペアのAさんが英訳。そしてBさんがAさんの言ったことに対して意見を述べる。最初から脳がフル回転です。全部は行いませんでしたが、これで1時間。濃厚です。
 次に靜先生の授業実践を体験。実際の教材を使用しての靜流奥義を紹介していただきました。これもペアワークです。語彙の練習について、AさんがRead&look upをして発音、BさんはAさんのあとに続いてリピートします。Aさんは言うときは見ないので、記憶と発音への負荷がかかっています。またBさんは聞こえたとおり発音するので、Aさんが間違った発音や適当な発音をすればBさんの発音に反映されるので責任重大です。これを基本とした応用編も紹介していただきました。
 次に本文のCDを聞かせ止められたところの直前のチャンクを言わせる活動。集中して聞かなければできません。
 次にDifining Practice。Aさんが定義を述べ、Bさんが単語を答えるという普通のパターンを紹介されましたが、靜流は教員が定義を言ってそれを書き、ポンポン式記述試験も行うそうです。
 次はグルグルメソッド。教材プリントのT/F問題を使用して行われました。方法は生徒が円になり、制限時間を設けて、回りながら評価するというものです。実際に体験しながら感じたことを述べると、
どきどきする → 挑戦するがつまずいて失敗 → 隣の人に訴えかけるように言っている自分 → 何度もトライしていくうちに恥かしさが消え、言えるようになる → 1回目成功 → 自信がついて次の文も言えるように一生懸命にしようとする。
自分の心の変化ですが、生徒もこのように思っているのでしょうか。また、周囲を見ても必死ではあるが、活気がある。とにかく気がつけば何度も英文を読んでいました。 普通にRead & look upをすれば当然、飽きてしまう地味な活動ですが、工夫をすることによって苦痛に感じず積極的にできるものなのだと思いました。
 最後に洋楽を用いての発音練習。曲はSk8er Boi(Avril Lavigne)でアップテンポの曲です。グループで練習し最後はカラオケで歌いました。



 靜先生のワークショップはとにかく英語を使いまくり。常に脳をフル回転しなければなりません。しかし、自分の英語力や英語教師とはどうあるべきかを常に示しています。今日、感じたことを決して忘れず、英語教師としての心・技・体を作り上げていきたいと思います。
靜先生の著書『英語教師の心・技・体』をまだ読んでない方はぜひ読んでみてください。

3/23/2010

関東甲信越英語教育学会2009年度春季研修会(報告)


 2010年3月21日(日)お茶の水大学附属高校で開催された標記研修会に参加したので、簡単にその内容を報告したい。
 同学会は中・高・大の英語教員が多数加入し、毎年夏に研究大会、春と秋に研修会を開催している。今回は全国各地から学会員以外の参加も多く、70名を越える参加者数であった。当初の予想は30名程度であったが、その予想をはるかに超える事前申し込み数だったとの報告があった。
 内容以外で最も印象的だったのは、講演以外すべての授業実践報告において必ずビデオによって授業報告がなされたことである。それぞれの発表者の伝えたいことが、授業ビデオに凝縮されていると感じた。生徒の様子がよく伝わるビデオであり、参加者の記憶に強く残ったのではないかと思う。
 今回の春季大会は「小・中・高・大の相互貢献の方途を求めて」というテーマで、以下のように、午前に2つの授業実践報告、午後に1つの講演と3つ目の授業実践報告という内容であった。
(午前)
 1.授業実践報告(久保野雅史先生:神奈川大学)
 2.授業実践報告(渓内 明先生:足立区立第十中学校)
(午後)
 3.講演(鈴木寿一先生:京都外国語大学)
 4.授業実践報告(中西美保先生:平塚市教育委員会)
 久保野先生の発表をお聞きするのはこれが2回目。今回は『教科書だけで大学入試は突破できる』(2009年、大修館書店)の執筆者であるということもあり、中高6年間を円滑に接続し、大学入試も問題ない英語授業のあり方について久保野授業の真髄を紹介していただいた。私は久保野先生の実践を聞き、4月の授業立ち上げで「先輩の勇姿ビデオ」を見せるようになった。私自身実践してわかったことは、身近な先輩の勇姿は強い英語学習のモチベーションになる、生徒は自身の近い将来のゴールを先輩の姿に見ることができる、先輩はすばらしい英語学習者モデルである、ということ。生徒の憧れや夢をあきらめさせず、地道な学習を継続させるきっかけを作る効果的な方法であると思う。
 渓内(たにうち)先生は、2009年全英連東京大会の分科会発表者である。発表内容は、中学校の英語授業において、音読をreproduction(retelling/story-telling)に段階的に発展させていき、教科書で扱われている英語の定着を目指す指導についての実践であった。効果の検証がまだ不十分で、説得力には欠ける部分もあったが、地道に授業改善にチャレンジしている先生の姿に好感をもった。指導手順や方法はシンプルなので、わかりやすい。生徒のこれまでの英語力の伸張をしっかりと検証して次の段階、つまり改良型へと間違いなく進歩していく実践である。発表後渓内先生に評価と定期テストについて質問したかったが、他の質問により時間がなくなり断念した。とても悔やまれる。近いうちに何かの方法でぜひコンタクトを取りたいと思う。
 鈴木先生の提案されている「ラウンド制指導法」については、全英連高知大会の「和訳先渡し授業」の研究に際して、授業研究部のメンバー全員で鈴木先生の指導に関するハンドアウトを読んで、全国には同じようなことを考えている先生がいるんだと強く励まされた記憶がある。今回はその指導方法そのもの紹介ではなく、その指導を基準にして鈴木先生が考案された『英語授業自己診断テスト』の紹介とそれに関連するデータを示していただいた。テストの目的は、授業で自分のしていること(長所・短所)を把握し、自己評価し、授業を改善することであるとのことであった。教員研修で使えるツールの一つになるかもしれないと思った。
 最後は中西先生(平塚市教育委員会指導主事)による小学校における外国語活動の実践報告であった。平成20年度に平塚市は文部科学省の「小学校における外国語活動等国際理解活動推進事業」に取り組んだ1年間の記録であった。先生方が「拠点校だから」というプレッシャーを感じるような研究ではなく、「どの学校でもできる活動つくり」の研究を目指したという点がすばらしいと感じた。英語がわけのわからない呪文のように繰り返される授業ではなく、子どもたちの心が動く、伝えたい、知りたい、聞きたいという気持ちで英語が用いられる場面がある授業つくりを研究し、実践してきたとのこと。さらに、英語ノートの指導書に出てくるクラスルームイングリッシュの例は小学校の先生には予想以上に大変であり、平塚市では、1回の授業では「これだけは使う英語表現」を1つだけ決め、その表現を教員が何度も繰り返し使うようにしたという。百聞は一見にしかず。皆さんもぜひ授業ビデオを見てほしいと思う。1つの英語表現を繰り返しあの手この手で使っている先生と元気で明るい子どもたちに会えます。

(高知県教育委員会事務局高等学校課 指導主事 山田憲昭)

3/22/2010

ELEC同友会語彙指導研究部会(報告)

 現在研究している語彙指導、来年度夏季に開催予定の県英語教育研究大会の研修として、2つの研究会に行ってきました。
(1)ELEC同友会語彙指導研究部会  3月20日(土)埼玉県越谷市
 この会はELEC同友会語彙指導研究部長である岡田順子先生にお願いして、開いていただいた会なのです。岡田先生は埼玉県立高校で20年間勤務されたあと、コロンビア大学、テンプル大学ジャパンで英語教授法や語彙指導について研究されています。現在も、中学校で教鞭をとられながら、上記研究会の開催や執筆活動をされています。岡田先生の語彙研究の視点は教科書の語彙をどのように定着させるかに焦点をあてた指導方法にあります。部会では、語彙習得理論の知識を加えながら自ら発案した実践方法を紹介していただきました。詳しくは4月10日(土)の第6回GOIKENで紹介したいと思います。以下は岡田順子先生が執筆された著書です。高知県の先生方に耳寄りの情報!!
岡田先生をとおして購入すると定価よりお安くしていただけるとのことです。興味のある方は以下にお問い合わせください。
・Vocaburary Learning Strategies for Japanese High School EFL Students(2006/8/20) 定価(税込)2,520円
・効果抜群 語彙の定着をさらに促進する単語テスト集 (2007/2/20)
・効果抜群 語彙の導入と定着を促進する語彙活動集 (2007/9/20
・効果抜群 他技能指導の中でしっかり語彙定着 (2008/3/10)
・効果抜群 辞書を用いた指導でしっかり語彙定着 (2009/1/10)
・みるみる語彙力がつく! 魔法の5分間英単語テスト(2009/9)
                   定価(税込)2,163円
・少しの工夫で効果4倍! 魔法の英語語彙指導アイデア(2010/2)
                   定価(税込)2,058円
・効果抜群 語彙指導にもペア・グループ学習を(2010/3)
                効果抜群シリーズ 定価(税込)1,575円

☆問い合わせ先
高教研英語部会研究部長(須崎高校) 中馬 剛 TEL 0889-42-1744

3/18/2010

今月のことば 3月


"In the confrontation between the stream and the rock, the stream always wins - not by strength but by perseverance."
- H. Jackson Brown

3/15/2010

Guiding readers and writers: Chapter 4



Iren C. Fountas & Gay Su Pinnel (2001) Guiding Readers and Writers, Heinemann.

4章ですね。小坂さんが的確なnavigationをしてくださったおかげで、良い流れで読めました。先に4章をもってきていただいた意味は大きいですね。

Reading Workshop について非常に良くまとめられています。基本的な構成から、特徴やメリットなどが、すっきりと整理できました。

◯全体として気づいたことは、本書では、授業の構成要素としてLiterature Studyを独立した要素としてあげている点です(前回のメールでも少し触れた点です)。これまで、independent reading と guided readingが中心かと思っていましたが、独立した指導項目として考えている人もいるのですね。

 関連して、 Guided Reading は同質の集団で行うが、Literature Studyは異能力集団で行うという点が、目を引きました。それぞれの目的に照らせば、当然といえば当然ですね。山田高校ではTeam Teachingの時は、僕がconferenceを行い、同時にもう一人の先生がguided readingをしていました。少人数で読みの課題を指導できるので、とても良いと感想を述べていました。

 外国語教育でのRWを考える時、Guided Reading とLiterature Studyの部分が重要になるのではないかと考えます。この部分にどのようなねらいと内容をもたせるかという点です。

 現時点で思うのは、Guided readingは主にL2としての言語面の指導にあてる。Literature Studyの部分は、L1のものとは少し異なるねらいをもたせる必要があるかもしれません。p.46の表では、"To develop a deeper appreciation and understanding of literary texts and to develop personal response."がprimary focusであると述べています。もちろん、この要素は捨てることはできないと思うのですが、学習者のL2の習熟レベルによっては、少し別な要素が必要ではないかと思います。皆さんはどのように思われますか?

p.45からの independent reading, guided reading, literature studyを詳述した部分は、具体的でとても参考になりました。
"independent reading is framed by instruction" という記述がありますが、この点が多読などの活動と決定的に異なるところでしょう。  

◯Workshopの意義として、"a group of people actively engaged in purposeful tasks"(p.41)とあります。この"purposeful"の部分がとても重要だと感じます。今年の生徒の感想を読んで思うことですが、意味のあるtask を準備できないと、生徒たちは「ただ自由に読んでいるだけ」という状況に陥ってしまうようです。次の一節が、workshopを行う意義を簡潔に述べていると思いました。

"Students learn by doing. Students learn to read by reading rather than simply hearing about reading." (p.41)

◯次の2点が非常に的確にまとめられいます。今後、参照できそうです。

☆Reading Workshopの基本的特徴(p.p.42-43)
1 学習者コミュニティー
2 本物の学び
3 実際に読む
4 生徒の実態のうえに
5 学習者の自律
6 明確なexpectations

☆Reading Workshopの長所(p.p.43-45)
1 RW builds an effective reading process
2 RW increases the amount students read
3 RW increases ownership of and commitment to reading
4 RW broadens readers' literary experience
5 RW develops responsibility for reading
6 RW encourages personal connections
7 RW teaches collaboration

<コメント>

Reading workshopの基本的なコンセプトをつかむのには格好の章だと思いました。これまで読んだものは、これでもか、これでもかと、言葉を積み上げていくような書きぶりが多かったと思いますが、この本は、かなりすっきりとまとめられているという印象です。(その分、淡々としていて、インパクトは薄いのかもしれません。)

やはり、Reading Workshopの本体部分をどうするかという点に最も関心を持ちました。independent reading, guided reading, literature studyの3つの要素を、外国語の授業ではどうするのかという点です。我々のプロジェクトの最大のポイントになるのかもしれません。

3/11/2010

第5回GOIKEN(報告)

 3月7日(日)、これまで輪読学習を行ってきた『英語語彙の指導マニュアル』の著者である、東京電機大学の相澤一美先生を講師としてお招きし、中学生の学習必須語彙リストの作成と学習語彙リストを活用した語彙学習の活動やテストのアイデアについてご講演いただきました。

【中学生の学習必須語彙リストの作成について】
1 JACET8000(2003)の作成プロセス
JACET8000とは、国内の英語教育関連のリソースを組織的に集約し、科学的な方法で作成された語彙表である。
●作成プロセス
:1億語のBNCコーパス+サブコーパスを反映
  *BNC頻度順10万語リスト、BNC5516語リストを基礎データとする。
  *各種サブコーパス(検定教科書、雑誌、新聞、映画、児童文学、BBC, CNN)からサブコーパス頻度順位表(8000語)を決定する。
  *BNC頻度とサブコーパス頻度を対数尤度の視点から調整し上位8000語を選択する。
  *高校教科書コーパス頻度順表(4126語)と照合して再調整
2 JACET8000の限界
  品詞のタグがアルファベット順である、低頻度語が多く含まれている、4250語以外は無償で公開されていない。
3 科研プロジェクトでJACET8000を検証し、追加すべき語彙を調査。
 ●JACET8000の検証
*学習者に対して語彙テストを実施した結果、頻度と正答率はLevel4までは、ほぼ一定の割合で減少しており、頻度で難易度が説明できるが、 Level4からLevel6付近から正答率が横ばいとなり、Level4以上は頻度と難易度の関連が低い。
  *教員が難しいと感じる語数は、レベルと関連がある。漠然と頻度を難易度と感じている可能性がある。
→5000語レベルを基礎的な語彙と仮定すると、全体的な頻度と難易度を比べるとほぼ妥当と考えられる。しかし、個別に見ると、頻度の低い語もまじっている。また、日本人がよく使う単語も抜けている。
●追加すべき語彙の調査
*大規模コーパスや収集したコーパスを用いて、米語、口語、児童英語、教科書の4つのサブコーパスを構築する。
*4つのサブコーパスでの重複(レンジ)を重視しながら、頻度で上位の語から候補語を選定する。
*候補となった語をWeb版の電子辞書と照合して単語として確立している語を選定する。
4 中学生の学習必須語リストの作成への提言
●原則を明確化する
*品詞別(東書)を考慮するか、語形(開隆堂)にするか
*レンジを重視するか、教科書コーパスの頻度数を重視するか
*頻度、意味の幅、カタカナ語との関連、学習のしやすさ、発信の有用度(ご当地語彙を含む)などをどう考慮するか。
*小学校英語ノートとの重複語386語

【学習語彙リストを活用した語彙学習やテストのアイデア】
1 授業で導入する単語の取り扱い
 *単語を識別する。(絶対に覚える語、できるだけ覚える語、とりあえず意味だけ覚える語)
 *カタカナ語をリスト化する。
*小学校英語ノートとの重複語を定着させる。
2 語彙指導の3段階 
第1段階:導入 単語を識別して紹介
第2段階:定着 Contextの中で意味を定着させる:十分とは言えない現状がある。
第3段階:発展 まとめて体系的に教える。Writing・Speaking活動と語彙指導の活動をいかに連結するか

3 語彙指導と文法指導の融合
・安心シリーズ
・潜在記憶:「覚えよう」という意図をもたず、呈示される刺激について何らか処理を行った場合に、潜在意識に影響を与える。偶発学習の繰り返し回数の効果は、少なくとも半年程度は私たちの中に残る。
・カタカナ英語の活用

4 語彙サイズテストの限界:どれだけ単語を知っているかを測定できるか?
語彙サイズを推定するためのテストデザインの工夫
*1か月に同じ単語を4回見ることを6か月繰り返すと効果が大きい。例:100語の単語カードを1か月に数回6か月繰り返す。
*単語の意味を覚えているか自己評価する。DSソフトがある。
*ハードルの低い要求を最初に行い、学習者に無理をさせずに少しずつステップアップしてテストを行う。
       1文脈つき多肢選択肢 2多肢選択 3文脈つき翻訳 4翻訳
       -------------------------→ 
正答率 高                                正答率 低
         ○難易度の低いテストを繰り返し行うと記銘しやすい。

5 語彙リストの活用方法のアイデア (brainstormingによる)
①語彙リストの巻末に付録としてつける単語カード
*Basic500を切り取り式の単語カードにする。カードはレベル別に色を変え、今月はピンクカード、来月はブルーカードなどのようにカードのグループ毎に扱う。単語カードは、種類別に仕分けしたり、覚えているものと覚えていないものに分けたりする活動にも使用できる。(仕分け作業は記銘に効果がある。)
*単語カードを用いて、カルタ取りができるように、単語の語義定義をつける。
*動詞の活用カードを用いて、トランプ(ページワンのような)ができるようにする。
②CD ROMをつける。
*教員がリメイク可能なテストをつける。翻訳だけでなく文脈つき多肢選択肢など、数種のテストデザインをつける。更に、長期休暇中の課題や、課題テストをつける。
*ビンゴシートや定着を図るためのワーズシートを添付。
③語彙リストのテストに級を設け、Web上で受験し、級を認定する。教員が学習者の学習語彙サイズを把握できるシステムをつくるだけでなく、デジタルベース化されたもので個別学習ができるようにする。合格者には資格証をWeb上で発行する。
④語彙を網羅した例文をつけ、音読の家庭学習に活用してもらう。
⑤毎日1日1語選んで、My 語彙リストをつくる。
⑥語彙リストが辞書代わりとしても使えるように、巻末にアルファベット順のインデックスをつけると共に、カテゴリー・発音別の配列にする。
⑦赤い記憶シートをつける。
⑧入試が近い12月になると、その年度の高知県立高校の入試に出る単語を発表する。また、語彙リストは入試に持ち込み可能とする。
⑨音と文字がつながらない学習者のための個別学習を可能とする音声の出るソフト(文字を押すと音声がでるような)の開発。

相澤先生より:新学習指導要領や教科書といったリソースにとらわれず、「高知の語彙リスト」を作成してください。
感想
 語彙リストの選定に関わって、科学的な研究に裏付けされたリソース、選定方法を整理して学ぶことができ、大変有意義でした。
 音読や読解、文法の定着についての指導方法は多種多様ある反面、語彙に関しては、悩ましいところでしたが、語彙習得の過程や効果的な習得方法、多様なテストデザインを学び、最後のブレーンストーミングでは、画期的な活用方法のアイデアが出されました。作成の方向性、展望が見えてきました。
 相澤先生、本当にありがとうございました。  
                     (リポーター) 中河 圭子(附属中学校)

3/08/2010

第4回全国高校生英語ディベート大会 in 埼玉 出場校報告


皆様、はじめまして!土佐高校の鎌田圭子です。昨年より全国大会の報告をと言われておりましたが、このように遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
 全国大会は、終業式の翌日に出発という最も忙しい時期なので、私が引率を希望すると、即、決定したという事情でした。以前よりは関心があるものの、まったく指導をしたことがない素人ですので、その分を生徒たちの感想文でカバーできれば幸いです。

第4回全国高校生英語ディベート大会 in 埼玉
2009年12月19日(土)~20日(日) 東京国際大学 第1キャンパス
論題 The Japanese Government should prohibit worker dispatching(Haken Roudou).

[1日目]
        AFF               NEG

第1試合   土佐      ×      ○佐倉(千葉)
第2試合  ○市立浦和(埼玉)  ×   土佐         
第3試合  ○土佐     ×       伊万里(佐賀)

[2日目]
第4試合 札幌国際情報    ×    ○土佐
       (北海道)

初日の2試合はすでに決められていて、その成績によって第3試合の対戦相手が決められますので、何としても最初の2試合に勝つことが大切です。佐倉高校は最終的には全国で10位だったという強豪チーム。でもとてもフレンドリーでした。市立浦和高校は昨年に引き続き、今年も上位を目指しているのがよくわかるくらい、しっかりと準備ができていました。いきなり強豪の2チームにあたりましたが、めげることなく3試合目にのぞみ、ホテルに帰ってからも、遅くまで翌日の試合に向けて、準備をすることができました。
 結果は2戦2勝で、64校中41位でした。試合ごとのジャッジのアドバイスがとても参考になり、一戦ごとに力をつけていったのが素晴らしく、高校1年生チームでしたが、よく頑張ったなと思います。また、樫尾先生にとてもお世話になり、知らない人ばかりだったので、大変心強かったです。本当にありがとうございました。
 高知県が上位に行くために、次の提言をしたいと思いました。高知県大会の試合を、全国大会を目指すチーム(4人)と参加して楽しもうというチーム(3人)に分けてはどうでしょうか。
 土佐高校では、昨年度にいくチャンスがあったにもかかわらず辞退した、現在の高2チームは、今年はぜひ行きたいと4人のチームを考え備えていましたが、残念ながら準決勝で敗れました。高1チームは3人のチームを2組作りました。準備万端の高2チームが破れ、急遽、高1で4人チームになりましたが、期末試験もあり、あまり準備もできないままの出発となりました。
 吹奏楽のコンクールのように、ディベートもA部門(全国大会を目指す)、B部門(県大会を楽しむ)に分ければ、指導するのもしやすく、気楽に参加しやすくなるのではないでしょうか?また、A部門にはぜひとも外国人ジャッジを含んでいただきたいと希望します。ジャッジの仕方も全国に合わせることができるのではないでしょうか。少ない予算で大変だと思いますが、多少参加費をあげてもいいかと思われます。それから、私のようにディベートの指導方法を勉強したいけれど、どうしたらいいのかわからないまま時を重ねてしまった教員のみなさんもいるかもしれませんので、初心者の教員学習会などもあればいいのにという思いがあります。以上、何もわかっていない素人が勝手なことを言って申し訳ありません。 全国大会の準決勝の栄光学園対創価高校の壮絶な戦い、また、ホールでの決勝戦を見れたことは、来年への励みとなりました。このような機会を作ってくださった関係者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。
 以下、生徒たちの感想文です。
 ・全国大会はやっぱり違いました。出場しているチームはどこも本気で優勝を狙っていて、モチベーションが違いました。そして何よりも痛感したことは、僕は日本語で一度考えて、それから英語にして話すという過程でディベートをするのに対し、特に上位チームの人は、英語で考え、英語で話していました、というのも、すごく、受け答えがはやく、中身のつまった英語をまるで母国語のように話していたからです。2勝しかできませんでしたが、とても貴重な経験になったと思います。(T.K)
・英語でディベートをするのは、楽しいと同時に、とても難しかったです。確かな情報源からの情報で立論を立て、アタックやディフェンスをするのは、日本語では簡単でも、英語では難しく思えました。相手の言っていることを理解するには、リスニング力が必要だし、手持ちの資料の中から、それに対する反論を即座に考えなければならないので、準備には力を入れました。3分や2分といった限られた時間の中で言いたいことを論理的に述べるということも大変なことですが、普段はやらないことなで、考える力がついたと思います。また、時間は限られているので、無駄にはできませんが、なかなかうまく話すことができず、無駄にしてしまったことが残念でした。すごいと思った工夫は、他校では資料を大きく書いて見せていたところです。こういうのも取り入れると、自分たちの主張に説得力が増すと実感したので、いかにわかりやすくするかが大切だとわかりました。話すスピードも全体的に速いということだったので、細かいところも気をつければ、さらに良い試合ができると思います。全国大会に出ている人は、皆、英語でしっかりしゃべることができていて、自分もそのレベルに到達できるように頑張ろうとおもいました。(C.M)
・全国大会で感じたことは、時間の使い方がどのチームも上手かったことです。質疑応答の時間も、次の自分たちの反駁、あるいはディフェンスへつながる大事なポイントを細かく聞いて、県大会との違いを感じました。また、思ったことをスラスラと英語で話していて、自分の考え、意見をどのようにして早く、相手にちゃんと伝わるように話すかということの大切さを、改めて実感しました。今後の英語の学習のしかたなどについても良い経験となりました。(R.T)
・僕たちは全国大会に出ることでいろいろなことを学ぶことができました。その中でも一番すごいと思ったのは、全国大会に出ているチームは、ほとんどディベートについての理解が完璧にできていたことです。県大会のときは、どのチームも相手の欠点を見つけ、それを指摘するということだけを重点に置いていた気がしました。しかし、全国大会ではほとんどのチームが自分たちのアドバンテージ、ディスアドバンテージを守り、相手のを指摘するという方法をとっていました。そこで、初めてディベートの戦い方が理解できました。
 2つ目に、全国大会ではほとんどのチームに帰国子女やハーフの人がいたのには驚かされました。けれど、僕にとっては逆にありがたかったです。なぜなら、日本で英語を学んだ人の中には、少し発音が変わっていて聞き取りにくいことがありましたが、ハーフの人たちは流暢な英語をしゃべるので、とても聞き取りやすかったです。
 3つ目は全国大会のテーマでもあった「Make friends!」です。皆さんの中には"全国大会に行けばそりゃ友達の1人や2人できるのは当たり前だろう”と思われる人もいるかもしれませんが、そういう感じではありませんでした。試合が終わると、いろいろな人たちが話しかけてきてくれて、そこで友達になることができました。ディベートのあとには交流会も開かれ、他県のディベートのことから個人的なことまでいろいろと話すことができました。これは僕にとってはとても貴重な経験になりました。これまでで述べたように、全国大会ではいろいろなことを学ぶことができます。自分が思っているよりも何倍ものことを学べるはずです。県大会で1位、2位になったら躊躇せずにぜひ全国大会に行ってください。(K.O)

金谷 憲先生 来高!(報告)


 3月6日(土)、高知小津高校で英語教育講演会が開催されました。講師はみなさんご存知の金谷 憲先生です。もう何度も高知に来られており、今回が35回目とのことで、家に帰ってきたようだと言われていました。さて演題は「高校英語授業改善への工夫」。以下が内容です。

1 英語は英語で
 「英語の授業を英語で行わなければならない」という報道を取り上げ、その真意を説明されました。
 ポイントは生徒が使えるようにすること
 「英語で」が「使えること」につながれば英語で授業を行えばいいが、そうでなければ・・・

2 外国語習得のメカニズム
 input → intake → output
          \
            ●(?)この●は何でしょう?これが習得のためには必要です。
 金谷先生の授業観察の見解は・・ inputに重点が置かれているがintakeがあまり意識されていない
       ↓
・使えるためには使わせること(理解を助ける説明も必要)
・理解のあとに使用すること
ここで間違ってとらえないように注釈が入りました。
読んだ英文の内容を日本語で説明できるのはintakeではない→intakeは英語でなければならない。(inputで終わらないこと!)

3 高校英語授業パターン
 全国で実践されている総合型の授業パターンを4つ紹介されました。もちろん、高知県バージョンも入っておりました。総合型の授業を行うには①inputの時間の短縮 ②教材の調整 ③定期テストの改変 ④大学入試の研究 が条件となるようです。

①については和訳先渡しが有効。ただ、余剰時間で何をするかが重要
②については教材の難易度を下げること。TASKの多い教材を選択すること
③出口は英語で(使えるようにする) ― 英語で解答する問題を増やすこと
④については分析をすることにより、教える内容を選別できる(何が必要で何が不要か→時間短縮)
 最後に金谷先生のむすびのことばです。
「英語習得はマラソンレースである。スタートより後半の伸びが大切」→高校英語授業がカギとなる。
わずか2時間でしたが、現在の授業の問題点や今後の見通し、また中学校、高校の役割もジョークを交えながら述べられ、本当に充実した時間でした。今回、参加者は約40名で中学校、高校の先生方が来られていましたが、授業を考える視点となったことは間違いありません。金谷先生、本当にありがとうございました。

3/01/2010

英語教育セミナー21のご案内

 高知工科大学地域教育支援センターと高知英語Connection!による英語教育セミナーを開催します。講師は 靜 哲人先生(埼玉大学)。日々、英語教育に情熱を注ぎ込み、自らの実践で生徒の英語力を鍛える厳しい中に優しさあふれる実践家です。今回は、昨年出版された著書『英語授業の心・技・体』(研究社)で取り上げられている実践を中心にワークショップ形式で行っていただきます。
 中学校、高校の校種を問わず、授業実践方法だけでなく授業に対する哲学など、多くの学びが得られること間違いなし!ぜひ、この機会に、靜先生のたぐいまれな心・技・体を実感してみませんか。たくさんのご参加をお待ちしています。

1 日 時  平成22年3月27日(土) 13:00~16:30
2 場 所  高知工科大学(高知県香美市土佐山田町宮ノ口185)
        A棟1階 A103教室
3 主 催  高知工科大学 地域教育支援センター&高知英語Connection!
4 プログラム
  13:00~17:00  ワークショップ「英語授業の心・技・体」
               靜 哲人先生(埼玉大学教育学部)
*当日は静香先生を囲んで懇親会(高知市内)も予定します。ふるってご参加ください。
5 参加費  無料
6 参加申し込み  氏名、所属、連絡方法(メールまたは電話番号)を明記の
うえ、3月20日(土)までに、電子メールあるいはFAXにてお知らせください。(様式自由)
 〈申し込み先〉高知工科大学地域教育支援センター 長﨑宛
          メール nagasaki.masahiro@kochi-tech.ac.jp
          FAX  0887-57-2105

【本件連絡先】
☆高知工科大学 准教授 長﨑 政浩(地域教育支援センター)
E-mail: nagasaki.masahiro@kochi-tech.ac.jp  
TEL 0887-57-2105(Dial-in)

☆高知英語Connection
 高等学校課 指導主事           山田 憲昭 TEL 088-821-4850
 高教研英語部会 研究部長(須崎高校)中馬    剛 TEL 0889-42-1744