1/18/2010

今月のことば 1月


Do what you can, with what you have, where you are.
-Theodore Roosevelt

1/10/2010

第3回GOIKEN(報告)

 新年あけましておめでとうございます。昨年は四国英語教育研究大会という大きな大会がありました。今年もがんばっていきたいと思います。
 さて、新たな研究会(GOIKEN)の3回目が1月9日(土)、高知大附属中学校で行われました。活動内容は
 1)専門書の輪読(英語語彙の指導マニュアル第3、4章)
 2)語彙の選定、検討です。

1)輪読
 第3章では、母語と第2言語の語彙習得のしくみ、受容語彙から発表語彙に移行するまでの内容、覚えやすい単語とそうでない単語について、単語に何回出会えば、その単語を覚えられるかについて述べられています。要点を取り上げてみると

(語彙習得のしくみ)
①第2言語学習者が語彙を習得するのにラベルづけが重要であり、既知の概念と音声やつづりなどと 
 強く結びつけることが必要である。→ネットワークの構築
 実際の語彙指導では、このラベルづけにとどまっており、語のネットワーク構築は学習者個人に任されているように思います。
②単語に出会ってからその単語を使うまでに5つの段階がある。
③接辞の学習は語彙を増強できる。(re-, un-, pre-, -ation, -ful, -ment)が習得第1位で80%以上正しく理解するには、1,000語ずつ段階的に高い語彙サイズが必要で、語彙サイズと接辞の習得に関連性がある。

(受容語彙と発表語彙)
①受容語彙から発表語彙への変化には4段階あり連続性をもっている。
 授業では第2段階(理解)の領域までが行われているものが多いのではないでしょうか。
②2,000語を発表語彙の目標として、学習者が知らない高頻度の語は意図的に指導する。

(覚えやすい単語とそうでない単語)
①語彙の学習には、音韻的・文法的・意味的要因が影響する。
②発音が難しくて意味が多く、イメージしにくい語彙は習得が難しい。
 研究メンバーの自身の学習体験でも、イメージしにくい(日本語の意味を含む)ものやつづりが長いものは覚えにくかったという声が聞かれました。
③単語の難易度を予測する客観的な指針はなく、教師の学習者としての経験を活かすしかない。
④単語のどんな側面が学習を困難にしているのかの事例を集める。

(単語を学習するには何度その語に出会う必要があるか)
①読みながらある語に6回以上出会うと、学習できる可能性が高い。
*授業中の各活動で出会う回数ではなく、英文を読んでいくなかで出会う語を指しています。
②語彙知識が少ない学習者ほど、語に出会う回数を多くする必要がある。
③新語が定着するような活動を与える必要がある。
 教科書だけでは6回以上その語に出会うことは不可能なため、繰り返し接する機会をいかに作るかが重要です。
 第4章では、語彙の指導の際のポイントと具体的な方法が紹介されています。
①教えるべき語と教えない語を区別すること。
 高頻度の語については教える必要がありますが、テキストにもあるように教科書の新出語すべてが高頻度かどうかを考える必要があります。実際の授業では当たり前のようにすべての新出語を教えていることが多いのではないでしょうか。なかなか区別するのは難しいですが、「頻度」を基準に考えるといいようです。
②定着のためにテストを予告して復習させることは短期的には効果があるが、長期的には効果なし。
 テストが終わったあとの授業で、まるでリセットされたかのように生徒が既習事項を覚えていないという経験はないでしょうか。試験後も既習事項を繰り返し使用させる機会を与える必要があります。
 定着・発展のための活動が他にも紹介されていますが、キーワードは「繰り返し」です。その語にさまざまなパターンで出会わせる工夫をすることが語彙習得につながるということです。

2)語彙の選定、検討
 発表語彙の観点から選出した語彙を報告し、検討しました。次回は中学校の先生の視点で今回選出された語について再検討します。
 今回の輪読内容で「繰り返し」ということがよく出てきていました。自分の授業で果たして生徒が何回語に出会っているのだろうか、またちゃんと教えるべき語、そうでない語の区別ができているだろうか。再考する必要性を強く感じさせられた内容でした。
以上、報告でした。
次回のGOIKENは 2月6日(土)14:00~ 高知大附属中学校で行います。

1/07/2010

南国市「これからの授業を考える会」打ち合わせ

1月16日(土)に開催される「第3回 これからの授業を考える会」(南国市教育研究所主催)の事前打ち合わせ会に出席。当日のテーマは「小学校外国語活動と中学校英語教育のあり方を考える」。小中の授業者を含めて、当日のパネル討議の進め方を協議。この会の趣旨は「子どもの実態からスタートする授業改善」。大いに賛同できる。今回はまだ第3回ということなので、今後の展開に期待したい。

1/02/2010

2009年第9回高知県英語ディベート大会(結果)

 2009年11月8日(日)、高知追手前高校にて第9回高知県英語ディベート大会が6校13チームの参加を得て開催されました。今年度の論題は「The Japanese Government should prohibit worker dispatching(haken roudou). 日本国政府は、派遣労働を禁止すべきである。是か非か。」。決勝戦は、土佐高校The Thoroughness (vs) 高知西高校The Fish☆Star。試合内容はほぼ互角。お互いに隙のない素晴らしい攻防を繰り広げましたが、最終的に軍配はThe Thoroughnessにあがりました。全国大会での健闘を期待します。
 現場で直接指導に関わっている先生方との話から、今回の論題が「高校生にとってはやや難しい」「高校生の関心が薄い」「政権交代で揺れ動く可能性がある」など様々な声がありました。言うまでもなく、ディベートを行う上で、論題設定は最も重要な要素の一つです。そういう意味で、今回の論題設定は、授業での指導が大変難しかったようです。指導する教員に余裕や技術がなかった、本当に教員の力量が問われた論題だったと振り返ることもできます。確かに、教員が「指導の数・量をこなす」必要があります。また、それぞれの学校には英語だけではなく、様々な教科の教員がいます。こういった他教科の先生方の協力を得ることができる組織作りも必要です。このように、英語ディベートが英語教員の力量を高めながら、学校中の先生方と生徒を結ぶ架け橋のようなものであってほしいと切に願います。
 実は、第9回大会に先立ち、2009年8月に四国大会高知大会がありました。その大会の第2分科会で、準備期間も含めた2000年から2009年までの10年間にわたる高知県の英語ディベート指導を振り返り、発表を行いました。教育委員会高等学校課上田妙指導主事、岡豊高校樫尾文雄先生、高知西高校有澤雅子先生の3名が高知県ディベート研究プロジェクト会を代表して発表を担当してくれました。分科会では、この10年の成果と今後の課題を明らかにすることができました。高校生や教員へのアンケート調査を実施し、英語ディベート指導が英語力向上にかなり効果がある手法であると、生徒や教員に実感されていることがわかりました。特に、若い世代の英語教員はディベート指導に大きな興味・関心を寄せていることがわかり、大きな勇気をもらいました。また、今後の最大の課題としては、具体的な指導方法をどのように高知県に普及させるかという問題があり、この課題の解決に向けて高知県ディベート研究プロジェクトを継続したいと考えています。指導書・DVDの作成や教員ディベートの推進等の実現に向けて、3年先、7年先、10年先の段階的かつ長期的な目標を立ててみてはどうかと思っています。
 最後に、大会後「全国大会の論題をそのまま県大会の論題として使う」ことに対する見直しの意見が出ました。高知県の英語教育の原点に戻り、確認する必要があるとの意見が出ていますので、まずは一つの区切りとして「2010年第10回大会」を記念大会と位置付け、その大会を高知県らしい英語教育実践の場として成功させるために皆さんのディベート研究プロジェクトへの参加をお願いしたいと考えます。
(文責)高知県ディベート研究プロジェクト 取りまとめ役 山田憲昭(高等学校課)