1/10/2010

第3回GOIKEN(報告)

 新年あけましておめでとうございます。昨年は四国英語教育研究大会という大きな大会がありました。今年もがんばっていきたいと思います。
 さて、新たな研究会(GOIKEN)の3回目が1月9日(土)、高知大附属中学校で行われました。活動内容は
 1)専門書の輪読(英語語彙の指導マニュアル第3、4章)
 2)語彙の選定、検討です。

1)輪読
 第3章では、母語と第2言語の語彙習得のしくみ、受容語彙から発表語彙に移行するまでの内容、覚えやすい単語とそうでない単語について、単語に何回出会えば、その単語を覚えられるかについて述べられています。要点を取り上げてみると

(語彙習得のしくみ)
①第2言語学習者が語彙を習得するのにラベルづけが重要であり、既知の概念と音声やつづりなどと 
 強く結びつけることが必要である。→ネットワークの構築
 実際の語彙指導では、このラベルづけにとどまっており、語のネットワーク構築は学習者個人に任されているように思います。
②単語に出会ってからその単語を使うまでに5つの段階がある。
③接辞の学習は語彙を増強できる。(re-, un-, pre-, -ation, -ful, -ment)が習得第1位で80%以上正しく理解するには、1,000語ずつ段階的に高い語彙サイズが必要で、語彙サイズと接辞の習得に関連性がある。

(受容語彙と発表語彙)
①受容語彙から発表語彙への変化には4段階あり連続性をもっている。
 授業では第2段階(理解)の領域までが行われているものが多いのではないでしょうか。
②2,000語を発表語彙の目標として、学習者が知らない高頻度の語は意図的に指導する。

(覚えやすい単語とそうでない単語)
①語彙の学習には、音韻的・文法的・意味的要因が影響する。
②発音が難しくて意味が多く、イメージしにくい語彙は習得が難しい。
 研究メンバーの自身の学習体験でも、イメージしにくい(日本語の意味を含む)ものやつづりが長いものは覚えにくかったという声が聞かれました。
③単語の難易度を予測する客観的な指針はなく、教師の学習者としての経験を活かすしかない。
④単語のどんな側面が学習を困難にしているのかの事例を集める。

(単語を学習するには何度その語に出会う必要があるか)
①読みながらある語に6回以上出会うと、学習できる可能性が高い。
*授業中の各活動で出会う回数ではなく、英文を読んでいくなかで出会う語を指しています。
②語彙知識が少ない学習者ほど、語に出会う回数を多くする必要がある。
③新語が定着するような活動を与える必要がある。
 教科書だけでは6回以上その語に出会うことは不可能なため、繰り返し接する機会をいかに作るかが重要です。
 第4章では、語彙の指導の際のポイントと具体的な方法が紹介されています。
①教えるべき語と教えない語を区別すること。
 高頻度の語については教える必要がありますが、テキストにもあるように教科書の新出語すべてが高頻度かどうかを考える必要があります。実際の授業では当たり前のようにすべての新出語を教えていることが多いのではないでしょうか。なかなか区別するのは難しいですが、「頻度」を基準に考えるといいようです。
②定着のためにテストを予告して復習させることは短期的には効果があるが、長期的には効果なし。
 テストが終わったあとの授業で、まるでリセットされたかのように生徒が既習事項を覚えていないという経験はないでしょうか。試験後も既習事項を繰り返し使用させる機会を与える必要があります。
 定着・発展のための活動が他にも紹介されていますが、キーワードは「繰り返し」です。その語にさまざまなパターンで出会わせる工夫をすることが語彙習得につながるということです。

2)語彙の選定、検討
 発表語彙の観点から選出した語彙を報告し、検討しました。次回は中学校の先生の視点で今回選出された語について再検討します。
 今回の輪読内容で「繰り返し」ということがよく出てきていました。自分の授業で果たして生徒が何回語に出会っているのだろうか、またちゃんと教えるべき語、そうでない語の区別ができているだろうか。再考する必要性を強く感じさせられた内容でした。
以上、報告でした。
次回のGOIKENは 2月6日(土)14:00~ 高知大附属中学校で行います。

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