3/29/2009

第25回英語教育セミナー21 高知県の英語ディベート(報告)


 本日、高知工科大学で第25回英語教育セミナー 英語ディベート編が開催されました。今回は第6回英語ディベート研究プロジェクト会も兼ねています。午前の部では、高知県がディベートをはじめて以来指導に関わった先生方が一堂に会し、これまでの取り組みを振り返ることで、今後の指導の在り方を考えるセッションを行いました。 また、午後は、英語ディベート指導に先駆的に取り組んでいる埼玉県の江森和也先生をお迎えして特別講演を行いましたのでその概要を報告します。
              (午前の部)
 高知県が英語ディベート指導をはじめて9年。この間、指導された学校の取り組みをお互いに紹介し、その成果と課題について検証しました。学校によって環境や生徒の状況も異なる中で、各先生方が独自の教材を開発し指導されている様子がうかがえました。成果、課題ともさまざまに出されていましたが、グループ全体を通して共通しているものがありました。成果においては生徒の英語学習の意欲が向上したことや論理的思考力がついたこと、チームワークの重要性や社会や普段の出来事への関心が増したことなどです。いっぽう、課題も出されたもので共通したものがありました。指導時間の不足、教員間の共通認識(熱意)、指導内容の工夫。いずれも指導者の課題です。これまで取り組んだ結果、出された共通点を生かして今後どのように指導の質的改善を行っていくか、またどのように指導の普及を図っていくかにつながりそうです。

              (みんなでランチタイム)今日はあいにくの曇り空。しかし多くの人たちが広大なキャンパスで花見を楽しんでおりました。私たちもちょっと寒い風に吹かれながらのランチです。しかし、桜はきれいでした。




(午後の部)

 江森和也先生(埼玉県立鴻巣高等学校)を講師にお迎えし、全国大会全般についての解説と先生自身が行ってきたディベート指導と成果・課題について講演していただきました。まず、全国大会のフォーマットに至るまでの経緯と現在の問題点について述べられました。現在のフォーマットにおいては自分の主張の前に、必ず相手の主張が入るため、次の準備がしやすいことがあげられました。いっぽう、懸念される点としては、質疑応答の時間が長いため、質問のしかたによっては弱点を見せたり、ジャッジに悪い印象を抱かせるおそれがあること、立論が置き去りにされるおそれがあることがあげられました。そのほか、ジャッジングのポイントについても解説がありました。勝敗はAdvantageとDisadvantageの比較によって決定され、証拠資料の引用による証明が重視されるということです。
 次に江森先生自身の実践として前任校(伊奈学園)での取り組みや埼玉県全体の流れについて紹介されました。埼玉県は県大会を開催してわずか3回目ですが、全国大会で優秀な成績を収められています。県大会の回数が少ないうちから全国で戦える力はどこでつけているのか、本日の解説からいくつかの理由が考えられます。
①いなほディベートBoys & Girls
教員で組織する英語ディベート部が実際にディベートを生徒にやって見せ、原稿を用いて練習する。
教員がディベートを見せることによって生徒にディベートの流れをつかませ、フォームを練習することができます。高知県も教員のディベートBoys & Girls 結成できないでしょうか。やってみたいものです。

②大会までの練習会(7回)
県大会までに、練習(試合)が7回設けられており、参加できる生徒がきて練習をしているとのことです。授業で学ぶ以外に、ここで実践経験を積むことによって、フォーマットに慣れさせることができます。
③いなほウィンターカップ
埼玉県では、今年度より、冬季大会も実施されています。新チーム(1,2年生)に照準をあてた大会のようですが、3年生も出場したそうです。目的としては学習してきたことやモチベーションを途切れないようにすることで、次年度の大会までの指導も効率よくできるということです。
④大学生との交流試合
高大連携事業の一環としてディベートを大学生と行う機会があるそうです。
江森先生の授業の工夫はもちろんのこと、このように県のディベート指導のしくみとしても工夫されていることがわかります。生徒がディベートを多く経験できる機会があることがわかります。

江森先生が最後にディベートの魅力についてディベートをしているときに生徒が本当に英語を使っている実感が持てることとディベートで使った英語は忘れないことを述べられましたが、今日のグループディスカッションの発表でもこのことを実感された先生がおられました。そのときの表情がいきいきとしており印象的でした。ディベートは生徒のみならず、教員のモチベーションをも向上させるのだと強く感じました。
江森先生にはお忙しいところ来高していただきありがとうございました。
以上、報告でした。

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