3/14/2009

英語教育セミナー21 高知英語Connection&高知工科大学Bluebird ジョイント・ワークショップ(報告)


 本日、高知市立城東中学校で英語教育セミナー21が開催されました。長﨑政浩先生(高知工科大学)によるワークショップで、本日のテーマはリーディングワークショップと多読指導の可能性 -生徒は本当に英語を読んでいるのか?-です。ワークショップの始まりはペアワークから。自分が読んだ本の中でいちばん印象に残っているものについての紹介。なかなか出てきません。読書量が少ないということと何を読んだか記憶を探るのに時間がかかりました。それはさておき・・・
次に以下の引用文を用いてある問題提起(現状の確認)をしてくれます。
"Most teachers do not teach. They 'cover' and do activities. Then when things go wrong, they dicipline." H.&R. Wong (1998) The First Days Of School: how to be an effective teacher
文法や読み方や色々なことをやらなければと必死に指導するのだけれども、うまくいかなければ最終的に押さえつけてやらせようとする。生徒の学習意欲が阻害されるわけですが、その学習の動機付け(意欲)を自然に維持し、または向上させ、学習内容を定着させるための1つの可能性として紹介されたのが今回のテーマなのです。本日は多数のさまざまなレベル、ジャンルの英書を使って概要を紹介されました。



 各グループごとにさまざまなレベルの英書が配られてのワークショップ。私たちのグループが読んだのは、絵が大きく1文で表されているものでした。特徴は、同じ文法事項が何度も出現し、最後に必ずオチがあるというものでした。このあと、授業としての利点について各グループで意見交換を行ったわけですが、単語を知らなくても、絵から想像できることや文法事項や表現の繰り返し使用による自然な定着化の促進など、どのグループからも共通した意見が出されました。英語の初期学習者や苦手な学習者でも読むことができます。
 さて、リーディングワークショップの指導形態は個別指導です。一例を示していただきました。
読みの方略の提示 → モデルの提示 → 個別に読書 → 個別指導 → 同レベルの生徒への指導 → 読んだ内容についてのやりとり → 授業の振り返りとフィードバック

生徒に実践をさせ、教員が発見したそれぞれの課題に対して個々に指導することによって生徒の学習の自立を促すためのひとつの形態です。これを多読指導として行う例を紹介されました。その前に、これまでの英語学習のステップについて今まで(現状)の問題提起をされました。
入門 → 基礎 → 応用 → 実用  「基礎力をつける前に応用を目指そうとしてたのではないか?」 全くそのとおりだと思いました。自分自身の授業を振り返ると「なんで定着しないんだろう」と思うことがよくありました。知識を与えても、それを使用させる機会が少ない、結局教えっぱなしになっているということなのです。今回の多読指導がこの基礎の定着に大きく貢献する可能性があります。「自分の好きな本を、好きな順番に、自分のペースで読むことで、英語を読む楽しさを味あわせ、楽しんで読書させることで、生徒の英語を自然に脳の深層に蓄積させていく。」
習った新しい知識を習得するための練習内容としてドリル形式の練習問題だけではモチベーションや量に限りがありますが、内容につながりのある英文を読む中で既習事項に何度も出会い量がこなせるというのは習得する条件としては整っています。実際の授業で多読指導を入れるには様々な課題があるとは思いますが、やはり強制されることなく自主的に読み、自然に定着を図ることができるという点で大きな可能性があると感じました。 長くなりましたが以上、報告です。

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