9/02/2009

第38回四国英語教育研究大会(高知大会)報告

 第38回四国英語教育研究大会(高知大会)が8月21日(金)、高知工科大学で開催されました。本大会のテーマは「今、求められる英語力とは -確かな英語力を目指して-」。小学校への英語教育導入や学習指導要領の改訂など、英語教育事情も目まぐるしく変化しているわけですが、そういった中で今、求められている英語力とはどのようなものかを共に考える大会であります。参加者数は275名で英語教員や学生など県内外からたいへん多くの参加をしていただき、盛大に開催することができました。
 さて、ついに大会の幕開けです。開会式も高知流、緊迫した中にもユーモアのあるどこか心地よい雰囲気でスタートしました。会長、県教育長の大会挨拶もすばらしいものでした。

(授業研究Ⅰ、Ⅱ)
 いずれもビデオ上映による実践発表です。中学校の発表者は橋尾 環先生(城東中学校)。読み手を意識したつながりのある文を書かせることを目標として、ライティングワークショップを取り入れた実践発表です。
 高等学校の発表者は前中 佳奈先生(高知南高校)。生徒が読んだ内容を自分のことばでリテリングできるようになることを目標とした実践発表です。



(分科会)
午後からは、5つのテーマに分かれての分科会です。
(第1分科会)
 この分科会のテーマは午前中に発表された授業研究についてです。発表者自身による実践の振り返りやコーディネーターとの対話によるリフレクションによって成果や課題、生徒の変容などについて述べられました。橋尾先生の授業からは本人のコメントでもあるように、「やらされて書いた」と「書きたくて書いた」の違いが生徒の様子からもうかがえます。 
 前中先生の授業においては、先生の人間性そのものが出ていて、それに生徒が引っ張られていくといった印象を強く受けました。質疑応答でもAudienceから多くの質問をいただき15分あった時間もあっという間になくなってしまうほどでした。
(第2分科会)
 この分科会のテーマは"How to develop communicative competence"。高校の部では本県から上田妙先生(教育委員会)、有澤雅子先生(高知西高)と樫尾文雄先生(岡豊高)がディベートについて高知県が今まで取り組んできた実践内容を発表されました。
発表時間が25分と短く、発表内容を作り上げるのにたいへんであったと思いますが説明や映像の内容も非常にわかりやすいものでした。また授業で実際に生徒が使用しているファイルの展示もされていました。


(第3分科会)
 この分科会のテーマは「ライティングの基礎力を育てる授業づくり」で、本県からは野村由美先生(西部中)が発表されました。野村先生は書くことについて課題を持つ生徒が多い現状に対して、日本語と英語の文構造の違いに着目させながら語順定着をさせ、音読やライティング活動をとおして生徒に書く活動への意欲や自信を持たせる取組みをされています。
 第4分科会は「効果的な評価のあり方」について、また第5分科会では「リーディング指導の工夫」については他県の中・高の先生方がそれぞれ実践発表されました。

(パネルディスカッション)
 本県の長﨑政浩先生(高知工科大)によるコーディネートで、伊東治己先生(鳴門教育大)、今井裕之先生(兵庫教育大)、根岸雅史先生(東京外大)と金森 強先生(松山大)の4名の先生をパネリストとしてお迎えし、「今、求められる英語力とは(確かな英語力を目指した授業づくり)」についてパネルディスカッションを行いました。テーマは大きく分けて3つ。(1)それぞれの先生が考える「求められる英語力」とは  (2)授業で目指してほしいこと  (3)中・高の先生に望むこと についてパネリストの先生がたに熱く語っていただきました。4名の先生方の個性があふれていてさまざまな考えを聞くことができ、本当に有意義な時間であったと思います。あっという間の100分が過ぎました。
 閉会式では山﨑悦子先生(土佐教育研究会外国語部会会長)による最後の閉めの挨拶。ここでもやはり高知流。和やか雰囲気の中にも最後はばっちりと締めていただきました。

 大会役員の先生方です。
 今大会の運営にあたり、県内の中・高から多数の先生方の協力をいただきました。暑い中、駐車場案内や受付等たいへんご苦労様でした。
 私自身、今大会に向けて研究部という場でコーディネーター、発表者に関わり準備を進めていく中でたいへん多くのことを得ることができました。今大会の準備についての反省はもちろんのことですが、
そのほかにも、授業づくりの視点や他者とのかかわり、自分のことなど本当にいろいろです。本当に感謝します。大きなイベントがここで1つ終わったわけですが、またこの熱を持ち続けていけるようがんばろうと思います。本当に今大会は高知らしい、すばらい大会でした。以上、大会報告でした。
* 次の研究テーマは①語彙と②小中の連携についてです。①については高知県の中学生に焦点をあて、中学校から高校に上がるまでの語彙について研究していく予定です。②は小学校への英語導入を受けて今後どのように連携していくかの研究です。日程はこのサイトと山田先生から発信されるメルマガでお知らせします。メルマガについて受信希望でまだ受信されていない方は中馬(須崎高)まで連絡ください。

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