12/20/2009

高校生のスピーチコンテスト

12月20日(日)第3回全国高等学校英語スピーチコンテスト四国ブロック代表選考会(会場 高知西高校)を審査してきました。四国各県の代表2名ずつのスピーチ。四国ブロック代表は高知の土佐高校、安芸高校の二人に決まりました。

最後に審査員を代表してコメント。入賞者とそうでない生徒のスピーチではどこが異なっていたかという観点から、4点お話しました。

1)I want to hear your own opinion.

昨今、環境問題や高齢化、福祉などの社会的テーマを扱ったスピーチが多いのですが、多くのスピーチは、どこでも主張されていることの焼き直しです。どこかから借りてきたものばかり(それはそれで悪いことではないのですが)。非常に整った構成で、すでに確立された意見をきちんと述べている。皆同じです。「練習された」怒りや微笑で、見事にスピーチをする。なので、結論も予測可能。完全でなくてもいい、完璧な結論が出てなくてもいい、自分の頭で考えて、自分なりの意見を述べてほしいということを話しました。本当に怒りやよろこびを表現してほしいと。Speakers' Voiceが聞きたい。

2)Catch your audience attention in opening

タイトルのつけかたも合わせて、もっとlead部分を工夫していい。優勝作品のタイトルは"disposable?"でした。環境問題のことかと思ったら、petの話題。良い意味で期待を裏切るopening.抽象論でなく、聴衆に訴えかけるエピソードで。

3)Emotion

練習された「怒り」や「微笑」ではなく、本当の感情を自然に出してほしい。一つ目の自分の言葉でということと関連するが、audienceが聞きたいのは、うまいperformanceではない。高校生としての、個人としての考えや意見だ。

4)How you reach audience

あらゆるコミュニケーションの目的はaudienceに何らかの変容を起こすこと。audienceの記憶に残り、何か行動に移したいと思わせるように。


参加した高校生たちは、それぞれ熱心で、英語もうまい。がんばってやっている。すばらしいと思いました。しかし、指導する側がどう考えるかで、彼ら彼女らの将来は変わるだろうとなあと思ったことです。スピーチ大会に勝つために、整ったスピーチをつくり、練習を繰り返す。生徒が日本語で原稿を書いて、先生が翻訳、ALTが英文校閲という手順で完璧な原稿を準備するところも多いようです。何かが違うと思いませんか。大会に勝つことが目的化している。それともう一つ、このような大会の参加者は「一本釣り」です。英語の得意な生徒を募集したり、声をかけて、参加させることが多い。普段の授業の延長にこのような大会があることが望ましいとずっと思ってきました。そうすることで、大会をやる意味も出てくるし、波及効果も大きい。

イベントとしてのスピーチ大会でなく、授業の延長としてのスピーチ大会のあり方を考えてほしい。サッカーもユースチームがあって、裾野が広い方が強いじゃないですか。

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