10/01/2021

教員給与の裁判に裁判長が異例の苦言(提言)

教員の時間外労働に賃金が払われないのは違法であるとして訴えた裁判の判決。請求は棄却されたらしいけれど、裁判長は異例の意見を付記したとのこと。

政治も行政も、働き方改革をやっているように「見せかけ」てはいるけれど、まだまだ本気度は見えない。多くの人が、教員とはそんなものと思っているフシがある。

司法が、公正かつ、力強く、このような提言をすることは、一歩前に進むきっかけになるかもしれない。

この判決に関する記事:

https://news.yahoo.co.jp/articles/d3f698a5abb81248256db0cbe9c3ef54ee7d592b

 裁判長による「まとめ」の全文は以下の通り:

「以上のとおり、原告には、労基法37条に基づく時間外労働の割増賃金請求権がなく、また、本件校長の職務命令に国賠法上の違法性が認められないから、その余の点を判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないといわなければならない。  なお、本件事案の性質に鑑みて、付言するに、本件訴訟で顕(あらわ)れた原告の勤務実態のほか、証拠として提出された各種調査の結果や文献等を見ると、現在のわが国における教育現場の実情としては、多くの教育職員が、学校長の職務命令などから一定の時間外勤務に従事せざるを得ない状況にあり、給料月額4パーセントの割合による教職調整額の支給を定めた給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないかとの思いを抱かざるを得ず、原告が本件訴訟を通じて、この問題を社会に提議したことは意義があるものと考える。わが国の将来を担う児童生徒の教育を今一層充実したものとするためにも、現場の教育職員の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、働き方改革による教育職員の業務の削減を行い、勤務実態に即した適正給与の支給のために、勤務時間の管理システムの整備や給特法を含めた給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望むものである。」

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