9/04/2007

AR Navigator 2007 No.21 佐野先生のミニ・レクチャー(11)

佐野先生のミニ・レクチャー(11)

マッピングまでは分かるのだけど、その後はどうするの

嬉しいことに、ミニ・レクチャー(10 )の反響がさっそくありました。内容
は、「マッピングで要点を思いつかせることは何度も自分でもやっていて、それ
なりの効果はあることは分かっているのだが、英語力のない生徒に、そこからど
う発展させていったらよいかわからない。マッピングだけでは、レベルの低い生
徒にはあまり役立たないのではないか。彼らは、内容もそうだが文の形そのもの
が思いつかないのだ」という指摘です。当然の心配で、私もこれからどうもって
いったらよいか迷っているところなのですが、来週の講義では、次ぎのような試
みをしてみようと思っていますので、その内容をお話します。ただ、これは成功
の保証はありません。結果は、また、実施したのちにお知らせします。

まず、今回はHealth というテーマですから、前回の講義では、What are
important for our healthy? と質問して、マッピングをまとめたのですが、そ
こでは、exercise, food, sleep, environment などの項目が挙がっています。

そこで、来週の授業では、その一つ一つについて、一文を選んでそれを基本文と
し、それにいろいろな疑問詞と結び付けて、モデルに習ってP-P で対話させ(あ
るいは、対話に先立ったノートに書かせるかもしれません)をさせる予定です。

たとえば、マッピングにあるexercise の項目を取り上げるとすると、学生の誰
かに、What sports do you like? Do you play baseball? などの平易な質問を
し、そこから基本文を出してI play baseball. を版書します。次ぎに、where,
when, who, how often, how long, why, what is a good /bad thing about
などの疑問詞も版書します。次ぎに、このように伝えて活動に入ります。

「これから疑問文作り競争をします。ペアのひとりは、板書したある文章を自分
の言葉として、I play baseball. と発話してください。相手の人は、版書して
ある疑問詞をできるだけ使って、どんどん質問します。まず、先生が質問する人
になってモデルを示しますから、皆さん全員が先生のペアになって答える練習を
してください。質問の仕方や答えかたの分からない人は、ノートに書いてもよい
です。その後、パートナーを変えながら、ペアで活動を実施します。自分は
baseball をしない人もこの練習では野球をすることにして、ほかの質問にも想
像力を用いて答えてください。では、練習です。S.1, will you start?

S1: I play baseball.
T: Where do you play baseball? In a full sentence, please. S2.
S2: I play baseball in our school ground.
T: When do you play baseball? (途中省略)
T: What's a good thing about playing baseball?
S6: It's fun and good for health.
T: Do you really think so? When did you start to play baseball?
How long have you played baseball? Do you think it is good for your
health to play baseball?

などと、すこし発展させた質問も加えて、対話練習をさせます。この質問は、大
部分は現在形で進めていますが、過去形や現在完了が入っているので、その文は
板書して注意を向けさせます。なぜなら、主語と動詞の語順と動詞の時制が
global errors で一番多いものなので、この点については、多少、きめ細かに指
導します。

このようにして、同じ流れで2人程度と会話をさせたのちに、自分がexercise
やsportsの項目で書きたいことをメモさせておいて、次ぎの項目のfood に移り
ます。やはり教師が質問のモデルを示します。具体的には、What is your
favorite food? How often do you eat it? Where do you eat it? Is it
good for your health? What's a bad thing about the food? などの質問が
考えられます。次ぎのSleep に関して、 When do you go to bed? How long do
you usually sleep? Is it enough for you? Which is more important, to
eat well or to sleep well? などの質問があるでしょう。Environmentであれば、
Where do you live? Is the natural environment good there? What are
good about the natural environment around your house? How about the air,
water, noise, etc.? Is there anything you worry about them? What do
you think you should do to stay healthy?

というような質問を用意して、生徒の考える力を活性化させてから、「結局、こ
の項目について、自分が言いたいこと、表現したら興味深いことは何か選んで、
それぞれ50 語以上の文章になるように書いてみなさい」と指示しようと考えて
います。 その後、書いた文章を並べ替えて、まとまりのあるessay にさせたい
のですが、それは来週はできないでしょう。その先は学生の動きを見てから考え
ることにします。

実は、後期の授業目標は、教師の質問をヒントとせずに、まとまりのある文章
を書くということなので、こうした質問を与えるのは本来のねらいからははずれ
たことをすることになります。ただ、与えられてテーマにどのように迫るかその
方法に気づかせるには、こうした指導も初期の段階では必要ではないかと思いま
す。学生によっては、すでにアイデアがあるので、こうした質問は邪魔だと思う
ものもいるでしょうが、そうした優秀な(?)学生にも参加してもらわないと、
活動がスムーズに進みませんから、現在のところは全員参加を考えています。ま
た、こうした簡単な質問を考えたり、繰り返し答えることは、頭の中の語順や時
制の知識を自動化して使える知識にするし、そうすることで、より多くのことを
考える余力ができるので、嫌がらずに練習することが必要だと説得します。私は
いつも、「人間は走る前には歩けなければならない。歩けるようになるにははい
はいができて、立ち上がれなければならない。 はいはいが満足にできないうち
に、格好をつけて走ってみても、転ぶばかりだ。格好悪くとも、まず、はえずり
回れ」と繰り返し話しています。さて、これでうまくいくかどうかは、次回の便
りをお楽しみに。

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☆英語教員指導力向上研修メーリングリスト
"You never really lose until you quit trying."

【授業改善プロジェクト担当】高等学校課 長崎政浩
PHONE 088-821-4907 FAX 088-821-4547
EMAIL masahiro_nagasaki@ken2.pref.kochi.jp
U R L http://www.kochinet.ed.jp/center/kyouka/kochieigo/index.htm

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