12/14/2008

第8回授業研究会特別編(報告)


 昨日に引き続き、第8回授業研究会が附属中学校で行われました。本日の会は田尻悟郎先生の実践を細かく考察し、自己の授業実践の問題点を見つけたり、授業の組み立て方や考え方などの疑問点を見いだすこと、自己のモチベーションを高めることを目標としたものです。題して「田尻悟郎を暴く」です。もちろん実際に田尻先生に来ていただき自身の教育観や授業観も聞くことができ、非常に密度の濃い充実した研究会を行うことができました。学んだ内容が多いので整理しながら今日の研究会をレポートしようと思います。
(全体の流れ)
 午前の部では、田尻先生の授業実践(50分)の映像を解説して頂きながら観察しました。授業の初めから終わりまでを一通り見るのは田尻先生の授業を見に行かない限り、多くの人にとってはこれが初めてではないでしょうか。(私は初めてです)。授業の展開を簡単にまとめると、出席確認 → ちょっとしたteacher's talk → ショートスピーチ → 評価 → 新しい内容の語彙練習 → ペアでディスカッション → パートナーの意見を再構築、発表 → 内容に関するQ&Aです。
 次に観察した授業を通しての質疑応答です。机間指導の方法や、授業のカテゴリーの配置についてなど、さまざまな質問がされ、丁寧に解説していただきました。   (昼食をはさんで)
午後の部では田尻先生とのフリートークが行われ、先生の実践や考え方に関する質問や先生の授業観や教育観を実践をしながら語っていただきました。
そうこうしているうちにあっという間に終了です。(16:00)
(本会での田尻先生語録)
今日の研究会で田尻先生が述べられたことば(私的に印象に残っていることばなど)を紹介します。
・教師という職業ほどひどい仕事はない〔一般企業は「ものづくり」をしている、売れる物をつくらなければ客は減る。 生徒を客にたとえると教師は売れないもの(わからない授業)を作っても客(生徒)は毎日来る。〕
・4つの授業カテゴリー
・指導案に定型はない
・スピーチの準備で原稿に訂正を加えてはダメ
・スピーチ活動の真価が問われるのは聞いている生徒の反応がどのように見えるかだ
・ALTへの働きかけ
・発問が命
・教科書は先に開かせない
・単なるパターン練習はダメ
・英語を感じさせる
・教えあいから生徒は多くのことを学んでいる
・テストで力をつける
・到達目標とテストの一致
・単発な活動から複合型へ
・英語を好きにさせるにはライティングがいちばん扱いやすい
・体験から学ばせる大切さ
・年間学習計画(シラバス)にしばられないこと
・メモを取れ
細かくあげればまだまだありますが、特に印象に残っているキーワードをあげました。
(感想)
 参加された先生方のコメントにもありましたが、田尻先生の実践や講演は多くのかたがこれまでも見聞きしたことがあると思うのですが、いつ聞いてもはじめて聞いたような感覚になります。なぜかわかりませんが・・・。とにかく時間があっという間に過ぎて、「田尻悟郎を暴く」には時間が足りませんでした。(物理的な理由よりも奥が深すぎて暴ききれなかった)といったほうが適切かもしれません。田尻先生の実践については、テレビやDVD、書籍等で紹介されており、印象は授業の目標や活動の目的が明確、ひとつひとつの活動が有機的に結びついている、生徒が英語を使って活動している、生徒の教えあいなど共通していると思います。しかし、今回50分の授業を通して観察すると、活動や指示ひとつをとっても生徒に対する細やかな配慮がなされており、また発問の仕方も生徒が多くの「気づき」を得られるように工夫された内容でした。
 今日の研究会で田尻先生のすべてを知ったわけではありませんが、少なくとも田尻先生の考える授業観や教育観を身近に感じられたように思うし、私たち自身の授業観や教育観を今一度見つめなおす大きなきっかけになったように思います。
以上簡単ではありますが、これを報告とします。

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