1/18/2009

「知の劣化現象」―茂木健一郎氏の本から



茂木さんの『脳を活かす勉強法』(PHP)を読みました。最新の脳科学を踏まえ、茂木さん自身の体験にもとづいて、茂木流勉強の極意を紹介する本です。読みやすい本なのであっという間に読めます。学ぶことの「喜びを強化」する回路をつくることがポイントなど、茂木さんの主張は全面的に納得できるものでした。自らの自己開発の指針として、おおいに活用できそうです。一方で、理屈は分かっても、学校教育や子育てにすぐさま応用するのは難しさもあるとも思えた。しかし、ヒントはたくさん隠されているように感じました。

本書を読んでいて、考えこんでしまった一節があります。「日本は諸外国に比べると、社会全体で「知の劣化現象」が起こっているような気がしてなりません。」(p.184)という部分です。このことに関して、本居宣長のもとに集まった近江商人たちの言葉が紹介されています。

「先生、私たちはいっぱいお金も稼いで、ありとあらゆる道楽をしつくしましたけど、『源氏物語』などの講義を先生から受けてみましたら、学問ほどの快楽はこの世にないということがよく分かりました。」(p.186)

私たちは、今一度、「学ぶことの意義」を立て直さなければならない。特に、わが高知県にとっては喫緊の課題だと強く思います。全国学力テストの点数をそこそこ上げることにのみ、囚われているどころではないかもしれません。

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