7/27/2007

AR Navigator 2007 No.16 佐野先生のミニ・レクチャー(8)

「前期の期末テストの結果から見えてきたこと」

 前期の期末テストでは、前号で予告したように、教科書やワークブックからは
言語形式に焦点化した時制を考えて動詞の原型を書き直す問題、前置詞や熟語表
現などの穴埋め問題、語順問題なども出しましたが、メーンは次ぎの課題でした。
 
「質問をヒントに、出だしの文に続けて、ペン・パルBillに帝京大学や大学生活
を説明する100語以上のまとまりのある英文を書きなさい。特に、パラグラフの
形、語順、動詞の時制に気をつけ、再度見直しなさい。最後に語数を数えて、記
入すること」

1) Where is the university?
2) How far is it from JR Tokyo Station?
3) How is the climate?
4) Which season is the best there?
5) What are good things about the university?
6) How do you spend a day there?
7) What are you going to send him for his birthday present? Why?

Dear Bill;
Today I'm going to tell you about my university, Department of
Education, Teikyo
University.

テスト時間は1時間ですが、大部分の学生は言語形式の問題は20分程度で終え
ていたので、約40分を掛けて英作文に取り組んだことになります。自己紹介と
か故郷紹介とか、気候とか、贈り物などのテーマは授業で扱っていますが、「大
学紹介」は新しい課題ですから、書き上げるには時間が掛かったようで、時間前
に提出した者は37名中2名だけでした。それだけ、熱心に取り組んだともいえ
ます。辞書は使用可ですが、教科書などは参照できません。英作文を採点し、結
果を数値的にまとめると次ぎのようになります。

・総合的評定      A- 7 名  B(B+, B-) 26名  C(C-) 4 名
・語数     最高 175 語  最低 49 語  平均語数 109 語
・global errorの数   最高 0 最悪  9 平均 2.4
・パラグラフの形    出来ている者 34 名  出来ていない者 3 名 

この結果を、到達目標に設定した「教師の与えた英文の質問をヒントにし、辞書
の使用を許せば、身近な話題について100語程度のまとまりのある英文を、
global errors は1個以内に押さえて、書くことができる」を基準に評価すると、

1) 語数に関しては十分満足がゆく結果である。また、書かれている内容も、質
問を手がかりにしながらも、自分の感想や意見が書かれていて、興味深いものが
多い。

2) 「まとまりのある英文」は、前期は内容的なパラグラフの構成よりは、形式
的な面だけを強調したのだが、その点では9割の学生が目標を達成している。

3) global errors に関しては、目標の設定自体がやや無理があったようだ。
Global errors

は全然ないという学生は3名しかおらず、A- のランクの学生の半数以上が1
個のエラーを犯している。質問に正しく答えることができない学生が多いのだか
ら、この結果は当然である。また、前期は指導の時間が十分ではなかった。正確
さをどのように高めるかが後期の課題である。以上が到達目標からの評価だが、
他に注目すべき点は、

4) 筆記テストの前日に実施した音読テストは、全員が真剣に取り組み、教師の
評価に満足せず、再度挑戦する者も数名いた。この場合も、テスト終了時点で、
Aと評価された学生に全体の前で音読させ、どの程度の読みが期待されているの
かを示した。

5) 私が最も力を注いだ英語学習への意欲づけは、この段階では成功している。
アンケートをとる時間がなかったが、音読や筆記テストの様子から判断すると、
英語学習に興味を持ち始めている学生が増えている。後期に、どう維持するかが
課題だが、その一つの方策として、夏休みの宿題にスピーチ(150 語の長さ)を
書き、最初の授業時間に発表させるので、暗記してくるようにと指示した。一方
で、英語検定や教科書の自学を薦め、実績を示した者は成績に反映すると告げて
ある。自学の習慣を育てる(と言っても限られた学生になるだろうが)ことも後
期の課題としたい。

 最後に、A-の評価を受けた学生の作品を紹介する。(誤りはまま。赤字は
global error)。
 
Dear Bill,
Today I'm going to tell you about my university, Faculty of
Education, Teikyo Univ.
My university is at Hachioji City in Tokyo. It takes two hours from
Tokyo Station by train. And, if you want to come here, you must get on
and off the train many times. It is difficult for you to come here.
But the university is a good place.
On you way to my university, you can see the mountain. The mountain
called Japanese people Mt. Takao. I like the mountain, because it is
very beautiful. As you can see, there are many flowers in the mountain.
By the way, do you like Japanese movie? My university appeared the
movie "Death
Note". How is your university? I want to hear. I'd like to
correspond with you.
     Your friend, Y. T.
     
この学生は、最初の授業で書かせた自己紹介では次ぎの英文を書いている。

 My name is Y. T. I'm from Ibaraki. I live in Horinouchi in Tokyo.
My favorite music is all. Especially I love Ray's music. And I love
basketball. So I belonged to basketball club until high school. I love
blue, because I like the sky and sea very much.

いずれも質問を与えているので、内容がそれによって制限されるところがある
のは事実だが、3ケ月後の前期のテストでは、教師の質問から発展して、より豊
かな表現を意図するようになった点は読み取れるだろう。もっとも、この学生の
自己紹介の作文は、最も上手く書かれていた作品だから、大部分の学生はより大
きな変化を見せているものてと期待できる。やってきた方向は、大筋では間違っ
ていなかった。

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☆英語教員指導力向上研修メーリングリスト
"You never really lose until you quit trying."

【授業改善プロジェクト担当】高等学校課 長崎政浩
PHONE 088-821-4907 FAX 088-821-4547
EMAIL masahiro_nagasaki@ken2.pref.kochi.jp
U R L http://www.kochinet.ed.jp/center/kyouka/kochieigo/index.htm

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