11/19/2008

高知南中学・高校セルハイ最終発表会の公開授業

 本日、高知南中学校・高校でセルハイ最終発表会が行われました。午前中は公開授業が2時間と研究協議、午後はセルハイの研究報告と松沢伸二先生(新潟大)による特別講演です。今日、見せていただいた公開授業にとても感銘を受けたので報告します。私が見た授業は

1時間目:英語Ⅰ(前中佳奈先生)  2時間目:英語Ⅱ(横山志保先生) です。

 1時間目の授業風景は、明るく、元気であたたかな雰囲気が感じられました。指導している先生の元気あふれる姿がクラス全体に浸透していて、生徒も積極的に活動に取り組んでいました。題材は野生保護運動に取り組んでいる1人の女性と子アザラシとの出会いと別れを描いた物語で、今日の授業ではすべてのあらすじを簡単な英語でピクチャーカードを使いながら説明するという内容でした。目標として3つあげられており ①物語を感動を持って伝えようとする  ②サマリーを、絵を見ながら短いことばで表現できる  ③発表者の英語を聞いて、物語を振り返ることができる  です。
 最後には全体の前で発表する場面があり、すすんで発表をする生徒もいましたが、中にはそうでない生徒もいました。そんなときに指導者からの励ましの声がかけられたのですが、感心したのは他の生徒からも励ましの声や拍手が自然に出ていたことです。その生徒は発表をしました。また、グループのメンバーが発表している姿を不安そうに見守る生徒やヒントを与える生徒も見られました。聞いていた生徒も発表者に視線が向けら集中していました。とても微笑ましい光景でした。最後には先生が自らモデルとなり、全ストーリーを一人でリテリングしたのです。そのときの生徒たちの視線は先生の示す絵に釘付けとなり、研ぎ澄ますかのように耳をかたむけて聞いていました。そして物語が終わると生徒から自然な拍手喝采。さっきまで楽しそうに、またにぎやかにやっていた流れとのギャップがあり、最後には引き締まったものとなっていました。生徒にとってはまさに物語を感動をもって聞いた瞬間だったでしょうし、今後への強いエールとなったことでしょう。本当に感動しました。

2時間目の授業でも、すばらしい授業を見ることができました。題材は馬と人間の関係、人間同士の心のつながりを描いた物語を扱いリテリングを行うという目標を掲げて行われました。アップテンポの語彙練習からはじまり絵を提示しながらの内容復習、レベルごとに区切られたワークシートを使ってのペアワークと非常にテンポのいい授業でした。横山先生はクラスの状況を冷静に分析され、生徒へのアプローチを使い分けていると感じました。
 私が印象に残った場面がいくつかあるのですが、その1つはリテリングをしている女子生徒が絵を相手に見せながら行っていたことです。この女子生徒だけが見せて行っていたように思います。先生が指示をしたことによるのではなく、生徒が活動の中で気づいてとった行動のようで、「知らないところで成長している」といった横山先生のことばは印象的でした。
 もうひとつは、この授業でも最後に全体発表があり、なかなか発表者が出なかったのですが、周りの生徒に推されて発表した生徒がいました。初めはイヤイヤという様子でしたが、先生の励ましと生徒の拍手によって一生懸命行ってました。途中で授業終了のチャイムが鳴り、私は他の生徒がどうするのかを見ていたのですが、発表している生徒を真剣なまなざしで聞いていました。この生徒は最後までやり遂げたのですが、発表した生徒にはなんとかやり遂げたという達成感と次の学習につながる少しの自信が持てたのではないでしょうか。また聞いていた生徒の中には彼の姿を見て「自分にもできるかもしれない」、「自分も今度やってみようかなあ」といったプラスの影響をもらったのではないでしょうか。
本当に授業者にも、生徒にも目を見張るものが多い公開授業でした。

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