2/01/2021

基礎学力不足の生徒に失敗の上塗りをさせていないか?

学力に深刻な問題を抱える生徒に対しては、まずは基礎基本を徹底的に繰り返して、身につけさせるべきだとの主張は根強い。

高等学校の「つなぎ教材」(中高接続学習の教材)などには、その傾向が強いように感じた。いきおい、中学校英語の文法の復習のような問題集を与えることが多かった。


果たして、これで良かったのか。中学校時代の失敗の上塗りをさせるだけになっていないか?そのような問題意識をずっともってきた。


『退屈な授業をぶっ飛ばせ!: 学びに熱中する教室』★でも指摘されているが、教師は学力に課題がある生徒には基礎的なドリルを繰り返し続ける以外にないと思ってしまいがちだ。本当はそのような生徒たちにこそ、夢中になれるような学びが必要なのだけれど。一部、引用しておく:


「サーラ・ファインは、この問題について教師たちと議論を続けてきた。そこで明らかになったことは、より主体的に学べる課題が与えられれば、低学力の生徒でもよく学べるという数多くの事例があるにも関わらず、学校や教師たちの多くは、来る日も来る日も、生徒たちに基礎基本を覚えるためのドリル的学習を課し続けているという事実であった。


生徒たちは、これが終わったら、もっと楽しい学習に進むと繰り返し聞かされている。でも、そのような日は決して訪れない。


結局、生徒たちは、そのような学習を続けることに幻滅し、学ぶことをやめ、多くの場合、中途退学してしまうのである。ワクワクするような学びを一度も経験することなく。」p.27


中学校までに、身につけられなかったことを押し込むのではなく、身につけることができたものを、生かすことのできる方法からスタートできないだろうか。


★マーサ・ラッシュ著/長﨑政浩・吉田新一郎訳 (2020) 『退屈な授業をぶっ飛ばせ!: 学びに熱中する教室』新評論  

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