6/19/2007

AR Navigator 2007 No.10 仮説設定のヒント2 インプットの周辺

 アウトプットは、インプットなしにはありえません。聞いたことも、見たこともないことを、理解したり、言ったりできる可能性はないのです。モンゴル語を聞いたことも、見たことものない私には、モンゴル語を理解することも、モンゴル語で意見を述べることもできません。英語が分かる、英語を使えるようになるためには、そのためのインプットが必要であるということです。

 インプットのうち、記憶に蓄えられアウトプットとして利用可能なものをインテイク(intake)と呼ぶことがあります。英文の構造や語彙が、学習者の頭の中にインテイクとして残ることが、英語力が定着した状態と考えるわけです。英語を理解するうえでも、インテイクは重要です。英文の構造や語彙が頭に入っていれば、英文を読んだり、聞いた時に、瞬時に理解できるようになるはずです。

このことから、言えるのは、

(1)土台となるインプットを与えることが大前提である。
(2)インプットをインテイクとして取り込む活動が定着の基礎となる。
(3)インテイクを活用して、アウトプットする活動を行うことで実践的
  コミュニケーション能力が育つ。

のではないかということです。

 さて、ここで仮説設定の話です。(1)〜(3)のどの部分が、皆さんの教室に必要だと思いますか?そして、どのような仮説が考えられるでしょうか:

(1)の場合

○「日本語による文法や語彙の説明中心のインプットしか与えてないなあ。簡単な英語(teacher
talk)で教科書の内容を説明し、インプットを与えてみたらどうだろうか。」

○「そもそも、インプットが必要という発想がなかった。どうすれば、良いインプットを与えられるだろう。chunkに区切って、区切りごとに内容をとっていくようなインプットを繰り返すのはどうかなあ。」

○「基礎的な単語すらあやしい状態。まずは、必要な語彙のインプットから始める必要がありそう。」

(2)の場合

○「分かり易い説明は心がけているし、生徒にも評判はいいけど、英語力が定着しない。もっと、基礎を定着させるためのドリル的な活動が必要かも。」

○「内容理解までは完璧にやってるけど、音読は1回しかやってなかった。やっぱ音読が不十分かなあ。しっかりと定着するまで音読とシャドーイングをやってみようか。」

(3)の場合

○「意欲も高いし、簡単なやりとりはできるようになってきた。でも、使う英語の質がまだまだ。英語を話す時の、内容が不十分そうなので、mappingを使って練習させてみようか。」

○「とても、活発なクラスで、英語を話すのも好き。生徒が英語を使う機会をもっと増やした方がよさそうなので、教師が説明する時間を減らして、生徒の活動時間を今より30%増やしてみようか。」

などなど。。。


 皆さんが、教室で実現したいことは、何ですか?どのような力を身につけさせたいですか?まず、生徒の願いや先生の思い、教室の現状をみて、もっとも効果的な仮説を考えてみてください。

----
☆英語教員指導力向上研修メーリングリスト
"You never really lose until you quit trying."
【研修HP】http://www.kochinet.ed.jp/center/kyouka/kochieigo/index.htm

【県教委BLOG】「風、きらり」

http://kazekirari.sblo.jp/

--
長崎政浩  NAGASAKI Masahiro
EMAIL masahiro@nagasaki21.com
masahiro.nagasaki@gmail.com
"You never really lose until you quit trying."

No comments: