6/10/2007

AR Navigator 2007 No.5 佐野先生のミニ・レクチャー(2)

佐野先生のミニ・レクチャー(2)  もう、いいかい? まだだよ。

ミニレクチャー(1)では、授業はじめには、次ぎの点を確認しようと話しました。ひとつ目は、教師の授業にかける思いを語るということです。これから1年間付き合うことになる先生はどんな人なのか、大抵の生徒は興味をもっていると思います。ですから、自分の中学や高校のころの生活や夢などを語ってやることが大切です。ただ、一度、自分のことを語ったからと言って、期待しすぎてはいけません。何人かが興味を持ってくれればよいのです。そっけない顔をしていても、内心の興味をわざと隠そうとしている者もいるでしょうし、逆に、反感を抱いてしまう者もいるかもしれません。その場合は、それはそれで仕方がない、次ぎの機会に仲良くなろうという程度に軽く考えるようにします。

次に、この授業でどんな力をつけて欲しいかを具体的に話すことです。たとえば、「英語で身近な出来事が書ければ、海外の友達とメールの交換ができるよ」というようなことです。ただ、それには練習が必要で、そのために絶対に守って欲しい教室でのきまり、自分で努力してほしいことなども伝えます。また、モデルの対話例を与えてペアで活動をさせ、相手を説明する英文を書くなどの活動もします。「コミュニケーションで相互理解を深めよう。メールも会話も、となりに座っている人から始めよう」と呼びかけるのです。

ここまでが、先週のポイントでした。ただ、教師と生徒の人間関係でも、クラスのルールも、コミュニケーション活動も、一度、話したからといってすぐにできるものではありません。時間を掛けて、リサーチの基礎作りをします。その間、ごく普通に授業は進めますが、大切なのはその進め方です。教師の個性や教科の特殊性などがあるので、いろいろの形があるのは当然ですが、忘れてならない基本もあります。それは、コミュニケーションの機会のない授業、教師指導型で講義形式一辺倒の授業であってはならないということです。なぜなら、授業で最も大切なのは、生徒が学ぶ(=英語が好きになり、できるようになる)ことなのですから、生徒を無視した一方通行では目標は実現できないからです。

とにかく、こうして、自分の授業のパタンがある程度理解されたら、それが生徒の要望に合致しているか、一度、軽くチェックしてみます。授業の流れを一覧表にしてタイプした用紙を配布し、それぞれの活動の狙いを教師が話すと同時に、それぞれの活動が理解しやすいか、役立つと思うかを授業直後に10分程度の時間を割いて、選択肢を選ばせる形のアンケートで調査します。そして、用紙の最後にはスペースをとって、「この授業でどんな力をつけたいと思いますか。先生に望むことはなんですか。自由に書いてください」と自由表記のできる箇所を設けます。この場合は、「ひとりひとりの考えていることを知りたいので、アンケートには名前を書いてください」と指示します。

こうしたアンケート調査は、教師が個々の生徒の要望を理解するためのものですが、それだけではありません。「君たちの意見を聞いて、よりよい授業にしたいんだ」というメッセージを生徒に送ることにもなるのです。ここまでは、アクション・リサーチの準備の段階です。本格的なリサーチの開始は、「まーだだよ」。

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☆英語教員指導力向上研修メーリングリスト
"You never really lose until you quit trying."
【研修HP】http://www.kochinet.ed.jp/center/kyouka/kochieigo/index.htm

【県教委BLOG】「風、きらり」

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