5/26/2008

再び授業評価について―二つの授業評価

高知工科大では、もうまもなく 1st quarterが終わる。日本でも珍しいQuarter制だが、やはりあっと言う間。初めての僕にとっては、あまり計画的にタイムマネジメントができなかった気がしている。授業準備に追われまくった感じ。ただ、quarter制のメリットは実感した。基本的に週1コマになってしまう大学の講義では、外国語などではなかなか定着が難しいけど、集中的にできるのはいい。この制度のメリットを、生かすも殺すも、授業のデザインの仕方次第と思う。

さて、quarter終了ということで、教務から「授業評価が始まります。」というお知らせが届いた。「わお、まだ二か月しかたってないで?」と一瞬たじろいだ。まだ、種まきが終わって、芽が出始めたころなのにと。。。まあ、当然のことながら、授業の進め方の評価や達成感などはみれるわけだから、何の問題もないのですが。授業評価が、待遇にもひびくとのこと。厳しい世界です。

で、授業評価。我が国で生徒による授業評価が定着してきたのはおそらくここ10年~15年です。高知県の公立学校は、全国に先駆けて導入しましたが、それは平成9年(1997)でした。香取草之助他『授業をどうする』(東海大学出版)という翻訳が出たのが1995年、池田輝政他『成長するティップス先生』(玉川大学出版)が出たのが2001年。省察(reflection)をもとにした授業改善や自己能力開発(いわゆるFD, Faculty Development)ということが、日本でも話題に上り始めた頃です。

定着しつつある授業評価ですが、いまだに、混同されていることがあります。それは、授業評価の目的には複数あるということ、そして、それぞれに応じて異なった方法をとる必要があるということです。代表的なものは、「人事考課のための授業評価」と「授業改善や教員の能力開発のための授業評価」でしょう。もちろん、完全に切り離すことはできません。年俸を上げるために、一所懸命授業を改善する努力をして、それで授業が改善されれば、いいわけですから。

ただし、「これらの二つは異なる目的実施しているんだ」ということを、授業者が明確に認識しておくことは決定的に重要です。人事効果が目的に場合、平等性を保つためにも、共通の質問紙を使って評価を得ることになるでしょう。しかし、授業改善や能力開発を目的とした場合、授業ごとに、教員ごとに、質問紙は異なったものになるはずです。授業のねらいも、課題も、教員の力量も異なるわけですから。一般的な評価だけでは、具体的な改善の手だてを見出すことはできないはずです。

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